約1000年の歴史を持つ「ひな祭り」と雛人形の柔軟な変化
3月3日は「ひな祭り」です。ひな祭りといえば「お雛様」を飾ってお祝いをする日ですが、お祝いに欠かせないのが「食べ物」です。
ひな祭りの定番の食べ物としては「はまぐり」や「ひしもち(菱餅)」などが有名ですが、実際にお祝いをした人たちは何を食べていたのでしょうか。株式会社ナビット社が実施したアンケートによれば、最も多かったのは「ちらし寿司」で、その割合は全体の27.1%に達しました。次いで「ひなあられ」が17.5%、「はまぐりのお吸い物」が11.9%、「ケーキ・洋菓子」が10.6%で続き、ひな祭りのお供物として欠かせない「ひしもち」と回答したのは全体の3.7にとどまりました。
さて、ひな祭りは桃の節句とも呼ばれますが、「節句」という言葉から分かるとおり、元々は中国由来の行事です。古代中国では3月3日に「厄除け」を行っていたとされ、それが平安時代の日本に伝わって定着する過程で、貴族の子どもたちの遊びと結びついたと言われています。
当時、京都の貴族の子どもたちは「ひいな遊び」というままごとのような遊びをしていたとされ、その遊びと厄除けの習慣が結びつきながら変化をとげ、現在のようなひな祭りの行事へと発展したそうです。
「ひな祭り」という行事がさまざまな変化を遂げながら、約1000年も続いてきたという点には驚くばかりですが、その「変化」は現代においても続いています。お雛様が着ている衣装といえば「十二単衣」など「公家の正装」であるのが一般的ですが、「ゴスロリ」風の雛人形が登場したことがSNSで大きな話題となりました。
また、リカちゃん人形が雛人形になったり、金髪につけまつげの洋風な顔立ちの雛人形が登場するなど、雛人形も社会に合わせてどんどん変化しています。こうした柔軟な変化のなかに、約1000年も廃れずに続いてきた理由を見た気がします。