定義や内容が大きく変化する「バレンタインデー」
バレンタインデーほど「定義」や「内容」が目まぐるしく変化するイベントは他にはないと言えるでしょう。
「本命チョコ」や「義理チョコ」という言葉があるように、バレンタインデーといえば「女性から男性にチョコレートを贈る日」というイメージでしたが、そのイメージはすでに過去のものになりつつあるようです。
チョコレートの祭典「アムール・デュ・ショコラ」を毎年開催していることでも知られるジェイアール名古屋高島屋さんが行った「チョコレートを贈る相手」についてのアンケート調査の結果が非常に興味深いものでした。
調査によれば、「本命」の相手に贈ると回答したのは全体のわずか4%にとどまり、「義理」の相手へチョコを贈るとしたのは3%にとどまりました。一方、「家族」に贈るとしたのは全体の33%で最多となったほか、「友達」は全体の17%となりました。「友チョコ」という言葉が登場してからまだ数年ほどですが、友チョコは定着していることが見て取れます。
さらに注目すべきは「推しに贈る」という回答が12%にのぼったという点です。好きな有名人やキャラクターなどの「推し活」の一環として、推しに贈るための「推しチョコ」という概念も登場し、すでに一部のチョコレートメーカーさんが「推しチョコ」にぴったりな商品を販売しています。今後も推し活の普及とともに「推しチョコ」市場はますます拡大していくのかもしれません。
また、「バレンタインをどのように楽しむか」という質問については、「自分へのご褒美として楽しむ」との回答が50%で最多となりました。近年のバレンタインデーでは、自分が食べたいチョコレートを自分のために購入して楽しんだり、友人と交換し合ったりする人が増え、「女性から男性にチョコレートを贈るイベント」から、「自分がチョコレートを楽しむためのイベント」へと変化しつつあることが見て取れます。
上記のアンケートで「義理チョコを贈る」という回答は調査開始以来、最低の数字にとどまったそうですが、それと同時に「推しチョコ」という文化が登場し、広がりつつあることは、時代の変化に合わせてバレンタインデーというイベントも柔軟に変化していることを示す事例と言えそうです。